木を扱っています。といっても漠然と、,,,

自分の写真
nagoya, aichi, Japan
1956年、名古屋産、工学系、我関せず、刳るものは拒まず去る者は追わず、淡々、

2009年9月27日日曜日

野村芳太郎と、角川春樹

ひさしぶりに、「砂の器」を見た。すばらしい映画だった。松本清張、生誕100年DVDシリーズを貸して頂いた。テレビで「人間の証明」をやってた。森村誠一のヒット作。高校生の頃、どちらも夢中だった。両方とも親子間の被加害者であり、反抗の動機こそが主題となっている、同じ傾向の作品だ。原作は優劣付けられない別方向の手法でそれぞれ書かれている。名作である。

しかし、映画の方を見ると、監督の力量は一目瞭然だ。[映画 砂の器」はすばらしい。後半のストーリーが変わり、クライマックスが原作と異なっていて、映画向きのアレンジが出来ている。謎解きや犯人捜しではなく、親子に降りかかった宿命がテーマとなって、それに焦点が合っている。芥川也寸志のオーケストラ音楽をBGM に無言で歩き続ける親子の映像は、テーマ音楽に縛られたように音楽の高鳴りと供に視聴者の緊張を高めていく。映像と音ならこうやって表現をしていくんだ、と感嘆する。 映画は監督だなあとつくづくおもう。about13

一方の「人間の証明」は、ストーリーを追うのに一生懸命という映像。映画は短い時間の制約が大変だと思う。ストーリーを追いすぎるとテーマが呆けてしまう。それどころかエピソードがワンカットだと、原作を知らない者には伏線が判らない。良い映画だけどね。もちろん制作動機が、こちらは興行的成功をめざしてコンペしたものだから。

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岡田茉莉子の貫禄は小気味良いけど、松田優作もがんばっているけど、いやあ、「砂の器」の加藤嘉はやはり演技も上だねえ。

2009年9月16日水曜日

老いに向かって

昨日21時にイオンへ行きました。郵便ポストがあるのです。そこで70近いジャージの一人の男性に声をかけました。”そちらは毎朝この前の公園の枯葉を掃除して見える方ですね。”、”ご存知でしたか、土日だけですがね”、”楽しく歩いています、これからもよろしく。” 店舗から出口までの数十歩の間でした。矢田第2公園を朝6時から7時前までほうきで掃いてくれている。数年前にジョギングをしていたとき頻繁に見ていたし、今でも早出のときに見かける。毎朝だと思っていた。もう10年以上は続けているようだ。

お弁当を買っていた。これから食事なのは独身だからだろうか。奥さんは亡くなられたのだろうか。元気そうだがどんな思いで作業をしているのだろうか。

かつての仕事仲間の70近い方は、奥さんがなくなって10年経ってから急に登山を始めた。奥さんは山登りが好きで彼は仕事熱心だった。彼は調理器まで一式揃えていろいろな山へ行った。もともと体力はあったから。”一緒に行ってやれば楽しめたかもしれないな、と今はおもうね。”と、彼は言う。

いろいろな動機、きっかけで事は始まる。途切れたり、始めたり、やり直したり。環境が変われば思いも変わる。思いが変われば、嗜好も変わる。いつまでもどこまでも、雑多な多種多様な姿形が見え隠れする、目を向ける気になれば。

2009年9月2日水曜日

読感です。”オリバーサックス著 色の無い島へ”

著者は精神神経科医である。遺伝による障害で色を識別できない人が、通常200万人に1人現れる。これは劣性遺伝なので通常はこの確率。しかし閉鎖された離島で、災害で人口が極端に減り(ここでは20人くらいまで)近親婚が繰り返されると劣性因子が発現する。このある島では全色盲が人口の5%だという。著者はここへ調査に行く。同じく全色盲の神経科医の友人を伴って。

生まれつき色の無い彼らは、多くの障害がそうだが、障害にはならない。”色が識別できなくて困りませんか?”という問いに、友人の精神科医は、”色だけでモノを判別するわけではありません。手触り、香り、季節、光の反射など全ての感覚で物事を捉えます。ただし、健常者と話しをするときには困ります。だから、これはこういった色、こう見えるときはこの色の名を言えばいい、と一生懸命覚えました。” 健常者こそが障害らしい。

この友人は、その離島へ着いたとき走り寄ってくる子ども達が自分と同じ全色盲だとすぐに判ったという。全色盲は網膜の障害のため、強い光に耐えられなく目を細めていて眼球は忙しく動き続けるのが特徴だからだ。かれらは薄暗い中では(三日月の夜、色の無い時間には)、すばらしく細かい陰影まで見分けるらしい、だから夜釣りが得意だという。なんらかのたたりのように苛まれていた彼らに、単に原因のある特質だと説明する。その島以外から来た全色盲の文明人からの説明は十分説得力があったようだ。彼らにはサングラスがプレゼントされた。

特異な人々との交流や因子の解明、この島の自然や風習なども紹介されている。著者は医学だけでなく、自然や風習に対する造詣も深く、その表現も快い。

この話以外に、グアム島では筋萎縮性側索硬化症(ALS)が風土病として高い確率で存在ていた(当時)。そこでの旅行記も載っている。島での患者と健常な人々との普通の暮らし、彼らの捕らえかた、そして住民の長い間の病気との生活から原因究明を行っている。ALSは、現在も原因不明の病である。ルーゲーリック(野球選手)病ともよばれ、宇宙物理学者ホーキンス,マイケルJフォックスなどが発病している。日本の紀伊半島とグアム島に風土病として知られており研究されている。